進行
火の中に佇む反町隆史似の女性はあんぽ柿をおいしそうに食べていた。目が合うと逸らすのは必ず吾輩の方で、目線を戻すと2あんぽ目に突入している。よりどりみどりと言いたくなった第三者がおいおいいおいと母音だけで我慢している。グラデーションでバレないように言われてたのは今はまだ誰も知らない…。
トナカイが自分のことをトナカイと知ったのは鹿から仲間はずれにされた時だと紫のチーママが嬉しそうに話す。それに続き、玄界灘で取れたシャチをふんだんに使ったシャチ丼を食べる青紫のチーママに、カーリングの石を購入する契約を結んだ赤紫のチーママが呼応する。
反町隆史が一酸化炭素中毒に陥る寸前、二酸化炭素軍団がやってきた。辺りはいつのまに水素だらけになり、彼女は溺れかけた。すると、ライフセーバーがやってきて当たり前のようにライフをセーブする。ものすごい信頼感だった。ただ、ライフとかセーブがゲーム用語だからか、この人達は自らの仕事をゲーム感覚で行なっていると思うと、急に信用できなくなった。
彼女は怪我なく助かった。が、保険金を貰うため怪我を装っていた。吾輩が大丈夫ですかと聞くと、poisonと低い声で答えてきた。彼女は怪我だけでなく反町さえも装っていたのだ。その姿に第三者はよりどりみどりと高い声で言っていたらしい。後で聞いた話だけど。しばらくして、彼女は息をひきとった。どうやら死因は毒死らしい。あんぽに毒が入っていたようだ。
実は刑事の吾輩は犯人をすぐに特定した。現場にいた紫、赤紫、青紫のチーママ、そして第三者を呼び出した。そしてそれぞれに聞いた。
「今後どこかに行く予定はありますか?」
紫「犯行現場」
赤紫「犯行現場」
青紫「犯行現場」
昔、聞いたことがある。犯人は現場に戻ってくると。ただ、こんな戻ってきてもらっては困る。
第三者「追い追いシドニー」
トナカイはこのようにしてアイデンティティが生まれたのだろう。吾輩は、第三者とこの前北海道に行った時の土産を東京地検に送った。
一人称が吾輩ということは吾輩は猫である。