女性の眞実

告白というのは大抵、男性が女性に対してその好意を伝えることだ。そして、今から私が伝えることは少子化の原因にもなりかねない眞実である。実はこのことに気付いている人も多いと思うが、それを公の場で発言することは凡ゆる批判を受けやすくなってしまう。しかし、それでも私はここに女性の眞実を描きたい。ちなみに真より眞の方が格好いいので使っていることを先に告白する。では、この告白とは異義の"告白"。前者が青の告白だとしたら後者はピンクの告白について以下に記す。

 

「ずっと前から貴方が好きでした!僕でよければ付き合ってください!」

淡い青年時代にいかにもありそうな1ページ。男性である自分は考えたことすらなかった。女性がこの時一体何を考えているのかを。

告白は成功か失敗か。男性にはその2択しかない。しかし、女性は違う。なぜなら「妥協」という言葉があるからだ。断るか、妥協するか、こいつと付き合った時の周囲の反応はどうなるか、一旦寝かしてから考えるか…など様々な問答が脳内で行われている。恐ろしい。しかし、よく考えたらそれもそうだ。「妥協」を除けば、告白の成功パターンは一つしかなくなってしまう。それは両想いだ。しかし、これはあまりに危険すぎる。万分の一の確率に委ねるギャンブラーと同人類だ。そう考えると女性はいかに「妥協」をしているかということに気づくことができるだろう。結婚後に鬼嫁に急変したりするのはこれの延長だという風に考えられる。以上が女性の眞実である。筆者がこのことに気づいた夜からずっと今まで見えている構図は女性の手のひらの上で遊ばれている男性の姿だった。並々ならぬ自尊心と自意識が存在する筆者はいつからかここからの脱却を考えるようになった。そして、導かれたのが普遍的な答えだった。それは男性の眞実とでもいうべきだろうか。

冒頭の青年の台詞、「ずっと前から〜」の少し前に遡る。青年は好意をもつ女性にその想いを伝えようか迷っていた。友人に相談してみた。

「大丈夫。お前ならいけるよ」それが後押しになって彼は告白に踏み切った。友人が言ったこの「いけるよ」という言葉に眞実が溢れているのが女性の諸君、お判り頂けただろうか。

まだ、の人のために解説しよう。この「いけるよ」はダブルミーニングになっている。一つはその文言通り、お前ならいける。お前、イケてるからいけるよ、という意味。そしてもう一つは、あの女程度ならいけるよ。という意味。男性の自信というのはその二つで構成されているのだ。

しかし、どちらも女性からすると嬉しいものではない。前者はただの勘違い野郎で、後者は自分を舐めたような野郎だ。しかも、これ主人公はちょっとナヨったした野郎だったから友人の力を借りたが、殆どが自分自身でこの答えに辿り着く。 こんなことを言うと、誠実そうな男性が「ただ、想いを伝えたかっただけなんだ!」とかいかにもなことを言ってきそうだが、実はこれもヤバいやつだ。何故なら、想いを伝えたいだけというのは自分本位で相手を一切考えていないのが丸わかりな行為だ。実はそいつは相手が好きなんじゃなくて告白できる自分が好きなことに後に気づくかもしれない。しかし、それに気付けるのは相手の女性が「妥協」でOKして、鬼嫁に変身した時だ。もう手遅れである。

少人数派なので偏屈に思われてしまうのは仕方ないが、これが男性の眞実なのだ。眞実を受け入れなければ、男性は万分の一に賭けるギャンブラーかもしくは、妥協を狙った告白で想いを伝えるしかなくなってしまう。といっても「僕でよければ」の語気が強くなるくらいなだけで外形的には気づかれにくいが。

というわけで告白が成功する確率を高めていたのは女性の「妥協」だけではなかったのだ。

女性の「妥協」と男性の「いけそう」が全世界の数多くの奇跡を後押ししている。

と、想像できる。

最後に打ち明けると実はこれ眞実と言っているにもかかわらず、全て自分の憶測だ。しかし、これが正しい、これならいけそうという自信だけは眞実にも勝る。