2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

或る人「常然」

或る人がいた。名は常然といった。常然と書いて、ツゼンと読む。常然とは急に出逢った。 前日の天気予報通りに晴れから曇りに変わった昼下がり、とある喫茶店に立ち寄った。窓際の席に座り店内を見渡す。落ち着いた雰囲気の良い店じゃないか。連れていた部下…

ダバダバ生きていく

新聞をとらなくなってから一年が経った。 昨今、囁かれている活字離れの象徴でもある新聞をとらなくなる現象。原因は簡単だ。今や無数あるネットニュースに新聞以上の詳細記事が書かれている。お金を払えばオンラインといってはもっと細かく。一年前、それが…

病院

ベッドの先には大きなガラス窓が付いていた。対照的に痩せ細った身体が痛々しさと哀れみの念を抱かせる。会っていなかったものの自分のルーツになる人物の姿を涙を堪えながらただ見つめていた。話す言葉が聞こえる時もあれば、その逆もある。ただ、身体の衰…

春の空気に虹をかけ

雨が降っていたはずの千鳥ヶ淵は2時間後に止んでいたのは奇跡と呼ばずして何と呼ぼうか。 『アルペジオ』の台詞を並べ立てた瞬間、背後からは笑い声が聞こえた。その笑いに、どうやら自分だけではないという安心感とこれから絶対面白くなるという確信を抱い…