2018-01-01から1年間の記事一覧

ブラインド

自分とよく似た人間が現れた。 風貌も口調も人柄もそっくりな彼は僕と横並びで歩いていた。彼の横顔を見てる間、彼は真っ直ぐと前を見つめていた。ふと、前を向き直した時には彼の背中で前が見えなくなっていた。 悔しくて、急いで彼を追いかけてまた横に並…

女性の眞実

告白というのは大抵、男性が女性に対してその好意を伝えることだ。そして、今から私が伝えることは少子化の原因にもなりかねない眞実である。実はこのことに気付いている人も多いと思うが、それを公の場で発言することは凡ゆる批判を受けやすくなってしまう…

走馬灯もどき

ヘアピンとも呼ばれる関門を通過すると、首位の背中を捉える。やっとこさ辿り着いた舞台で醜態は晒せないと自身を奮起させ、より一層の集中力を要す闘いへと向かう… 恋人は言った。たーくんのやりたいことはやらせてやりてえからよ、と。その言葉が後押しと…

改訂

ヒラガナ。KANJI。片仮名。えいご。 KiガツイタラソコハShuchuchiryoshitsuダッタ。MichibataデTaoレテイル俺ヲ、イヤOleヲHakkenシテクレタGaikokujinガKyukyushaヲYoンデクレタラシイ。Shinzo真沢尻ヲシテモIshikiガKaihukuシナイ俺ヲ、イヤOleヲえーいー…

時間の無駄

せ、先輩……………………………………………あ、…あの……………お、……お話しが…あるのですが………………チ……チリの……チ……チリの……やだ私……間違えちゃった……先輩…………あ、……あの………チ……チリ専門………チリ専門料理店………チリ専門料理店のオーナーに………………なってくれませんか。 そ、それと…………

伸るか反るか。 なんて文句を耳にするこの街を引いてみるようになったのは初めてのことだった。流線形のオブジェが象徴の駅前で若者たちが写真を撮る。一瞬の輝きは彼等の背後にいた悲しい顔をしたジプシーを映したことだろう。同情するのも戸惑うほどの姿に…

願望

鳥になりたい人たちが汗水流して琵琶湖の空を飛ぼうとする姿を見て思う。このようなコンテストを作りたい人たちの血と汗が彼等の生き甲斐としていつまでも残り続ける。そんな全体が好きな私は鳥人間コンテストになりたい。重ね重ね私は、鳥人間コンテストに…

御空区

言っても信じてもらえないから言わないでおいたことがある。言わないでバレたほうが信じてもらえそうだから言わないでおいたことがある。大阪。新生活はここから始まる。仙台での旧生活に名残惜しさを抱きながらも。モノはあまり持ってこなかった。新しいモ…

人工衛星は衛生的じゃない

試合終盤に投入するジョバンニのオカンに頂いたご飯に合うボランチ。 目処が立たない予算にはモザンビーク旅行を捻じ込んだ社長が原因だとボランチ。 股間に効く薬を服用した途端に嫌な予感しかしなかったボランチはのちに初犯に。 昼めしはマクドナルドに立…

或る人「常然」

或る人がいた。名は常然といった。常然と書いて、ツゼンと読む。常然とは急に出逢った。 前日の天気予報通りに晴れから曇りに変わった昼下がり、とある喫茶店に立ち寄った。窓際の席に座り店内を見渡す。落ち着いた雰囲気の良い店じゃないか。連れていた部下…

ダバダバ生きていく

新聞をとらなくなってから一年が経った。 昨今、囁かれている活字離れの象徴でもある新聞をとらなくなる現象。原因は簡単だ。今や無数あるネットニュースに新聞以上の詳細記事が書かれている。お金を払えばオンラインといってはもっと細かく。一年前、それが…

病院

ベッドの先には大きなガラス窓が付いていた。対照的に痩せ細った身体が痛々しさと哀れみの念を抱かせる。会っていなかったものの自分のルーツになる人物の姿を涙を堪えながらただ見つめていた。話す言葉が聞こえる時もあれば、その逆もある。ただ、身体の衰…

春の空気に虹をかけ

雨が降っていたはずの千鳥ヶ淵は2時間後に止んでいたのは奇跡と呼ばずして何と呼ぼうか。 『アルペジオ』の台詞を並べ立てた瞬間、背後からは笑い声が聞こえた。その笑いに、どうやら自分だけではないという安心感とこれから絶対面白くなるという確信を抱い…

JIMYBUKAY

この世界に入って早五年、待ちに待った地上波デビューの仕事は食レポだった。 午前十時に町屋駅に集合し、打ち合わせを済ませ、いざ闘いの舞台である牛丼屋の前に辿り着いた。ここまでの道のりは決して簡単なものではなかったが茨というのもおこがましいので…

ザセツ

これは間違いなく挫折だ。 今まで感じてきた人より進んでる感覚はあっという間に逆転した。不動の壁に直面し、考えを巡らすが打開策は見つからない。例えば、この壁が自分めがけて迫ってきていた場合、考えるまでもなく飛び越える一心に到達するが、そんな物…

家④

出たな魑魅魍魎マン。5歳になる甥っ子は一人でブラウン管を見ながら格闘している。晴天だから外へ出ようと声を掛けても、たばこを買うためだということがバレているのか、見向きもしてくれない。可愛げはないが、魅力はある。魑魅魍魎マンの魅である。たまに…

タイアップ

転校生の紹介とホームルームは僅か数分で終了した。録音していたビートたけしのオールナイトニッポンを聴くためにダッシュで下校中、曲がり角で何かに衝突した。正体はどうやら人間のようで、しばらくしてそれは最新の記憶の中にある人物であることが判明し…

リハビリ

よく治ると巷間言われる店へと足を運んだ。 その名も俺のリハビリ。フレンチ、イタリアンなどの俺のシリーズはとうとう医療にまで発展した。外装の胡散臭さは駐車場に並んだ白いスーパーカーが主張していた。店内には整骨院に置かれるべくして置かれたような…