ザセツ

これは間違いなく挫折だ。

今まで感じてきた人より進んでる感覚はあっという間に逆転した。不動の壁に直面し、考えを巡らすが打開策は見つからない。例えば、この壁が自分めがけて迫ってきていた場合、考えるまでもなく飛び越える一心に到達するが、そんな物理は三次元では存在しない。つまり、この壁は自分から踏み出さない限り、越えることは出来ないのである。

認識していても行動できないのは人間の常で、ここにこうして記しているのも何かが生まれるのではないかという淡い期待を抱いているからである。しかし、そんなに言葉は万能ではない。御託が誰の目から見ても御託として並んでいる。打った文字を一列目から読んでも全く面白くないし、誤字脱字もない。真新しい展開もないし、テクニックも経験もない。力強さや繊細さもありゃしない。

ネガティヴになった自分にブをヴにしたことを笑う街に佇むルイヴィトンの旗艦店は心なしか少し小さく見えた。相田みつをがお金が大事だよ〜的な文章を遺していたのを見たときの印象は、なに言ってんのこの人?と思ったが、今なら言えることもある。当たり前だろなにこいつ?は?字下手じゃね?なに「を」って?は?

「お」を「を」にしたことを恥じらうみつをに対し、眞鍋かをりは心なしか少しエロく見えた。

 

『だいしょう』

鶴になる。

大きな鶴になり、小さな鶴に優しくする。

バケツになる。

大きなバケツになり、小さなバケツを中に入れて運びやすいようにする。 

カンガルーになる。

大きなカンガルーになり、小さなカンガルーを中に入れて運びやすいようにする。

森永卓郎になる。

大きな森永卓郎になり、小さな森永卓郎を中に入れて運びやすいようにする。 

森永卓郎の母になる。

大きな森永卓郎の母になり、小さな森永卓郎に優しくする。

人になる。

大きな人になり、小さな人を馬鹿にする。

国になる。

大きな国になり、小さな国を侵食する。

明日になる。

大きな明日になり、小さな明日を忘れる。